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ただの大学生(5) [過去の日々]

その日。退去の前日。

不要なモノは、その日までに、自分(と友達)でなんとか処分を終えました。
必要なモノは、引越業者が引き取って、無事、新たな転居先の東京へ、送りだされていきました。

あとに残ったのは、入居時のままの、広い部屋でした。
(正確には、布団がひとくみ、残っていましたが…)

この時、雷が落ちたような衝撃を、僕は感じました。
おおげさでなく、その衝撃を、僕は今でも忘れることが出来ません。

僕が住んでいたのは、こんなに広い部屋だったのか。
そして、大学在学中の4年間、この広いスペースをモノで(しかも、そのほとんどを不要なモノで)、占領していたのか…と。

入学の時に適当に揃えた家具・家電や、生活する中で無意識に増やしてきたモノが、もともと広かったその部屋をとても狭くしていたということに、初めて僕は気づかされたのでした。

それまでに、何人か、女子の友達が部屋に来ることがあったけど、口には出さないまでも、汚い部屋だなぁーなどと思われていたのじゃないか…。
この部屋に不満を感じたことは別に無かったけど、もし、もっと早くこの部屋を広く使う、ということに気付けていたら、もっとこの部屋での生活を楽しめていたのじゃないか…。

ただ部屋が広いことに気づいた、というだけでなく、いろいろな思いが巡ってきました。

あるいは。もっと言えば。

この部屋で暮らした「4年間そのもの」をやり直してしまいたい、というような、反省やら後悔やらの念がいろいろとないまぜになったような、そういう思いがこみ上げてきた、といってもいいかもしれません。

旅立ちの季節がもたらしがちな一時的な感傷だけではなかったと、思います。

とにかく、「ただのお引っ越し」というイベントが、大きな体験となって僕に衝撃を与えることとなりました。


…そして、その衝撃がその後も影響してくることになるのですが、この時点では、まだそのことに、気づいていませんでした。
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